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【プレイ感想】人生に刻まれる、フランス産JRPG「Clair Obscur Expedition 33」レビュー

この記事はYoutubeに投稿した動画内容を再編集したものです。

皆さんは今まで遊んできたゲームの中で、人生の思い出に残るような作品って何が思い浮かびますか?

私の場合はゼノギアスやスターオーシャン セカンドストーリー、ロマンシング サガ ミンストレルソングなどがあるのですが、たぶん皆さんが今思い浮かべた作品も、子どもの頃に遊んだ作品が多いんじゃないでしょうか。

そんな中で、まさか大人になってこれほどの衝撃を受ける作品に出会えるとは。フランスのSandfall Interactive開発による「Clair Obscur Expedition 33」は、絶対にこれからの私の人生に深く刻まれる1作になると思います。それほどの素晴らしい作品でした。

目次

どんなゲーム?世界観をサクッと解説

「Clair Obscur Expedition 33」(長いのでここからはClair Obscurって呼びますね)の舞台は、数十年前に崩壊を経験した架空の世界です。

その世界には北の果てに「ペイントレス」と呼ばれる巨人がそびえ立っていて、1年に一度目覚めてはモノリスに数字を描いてカウントダウンを行います。唯一残された街ルミエールでは、その数字の年齢に達した人々が「抹消」されてしまうという、なんとも絶望的な状況。

でも諦めるわけにはいきません。ペイントレスを止めて明日を掴み取るため、毎年探検隊が派遣されるんです。主人公たちは第33探検隊として旅立ちの日を迎え、ここから物語が始まります。

開発したSandfall Interactiveは、実はUBIソフトのクリエイター陣が独立して2020年に設立したばかりの新しい会社で、なんとこのClair Obscurが初の作品なんです。日本ではセガがパブリッシングを担当しています。

海外が本気で作った「日本のJRPG」がすごい

このゲームの一番の特徴は、海外のスタジオが本気で作り上げた「古き良き日本のJRPG」だということです。ターン制のコマンドバトル、ワールドマップと街・ダンジョンの構成、シナリオ主導で進む流れなど、懐かしのJRPGの「お約束」がぎっしり詰まっています。

最近のオープンワールド全盛の時代とは真逆のアプローチなのに、信頼性の高いゲーム評価サイトMetacriticでは92点という高得点!国内外から絶賛されているんです。

正直に言うと、こういう素晴らしい作品を遊べて嬉しい気持ちと、日本のメーカーの多くが海外に合わせて諦めた(悪く言えば捨てた)JRPGという様式美を、海外メーカーがこんなにも完璧に作り上げたという皮肉に、少しだけ悔しいような寂しいような気持ちもあります。この作品のヒットをきっかけに、国内メーカーからもまたこういう作品が生まれてきたら嬉しいですね。

ちなみに作品タイトルの「クレール・オブスキュール」は美術用語で「明暗法」という意味で、光と影を使って表現する手法のことなんです。最後まで遊んでみると、この作品の物語や世界観にぴったりな言葉だなと感じられますよ。

まず驚くのは芸術レベルのムービーシーン

Clair Obscurで最初にぶっとばされるのが、もうゲームという枠を越えて「芸術」と呼んでもいいレベルのムービーシーンです。

画角なのか、構図なのか、色使いなのか…単純な映像美とはまた違う部分でグッと心を掴まれるんです。なんだか分からない、言葉では表現できないけれど、なんだかとてもセンスの良い素晴らしいものを観ている感覚。

これまで遊んできたゲームでは経験したことがないような、不思議な感覚でその流れる映像の美しさに感動していました。

でも「ムービーゲー」かというと、そんなことは全くないんです。無駄なシーンが一つもないくらいの必要最低限で、映像としての美しさとゲームとしての遊びの楽しさが完璧にマッチしています。「ムービーを観させられている」っていうダラダラ感は全く感じませんでした。

このムービーが描き出す世界観が、次に話すシナリオを120%に引き立てていて、Clair Obscurの世界でストーリーを追っていくことの虜にさせてくれるんです。

大人だからこそ刺さる、深いストーリー

次にお伝えしたいのが、ストーリー・シナリオの素晴らしさです。正解のない大きな問いに向き合い成長していく主人公たちを見ながら、私自身も様々なことを考えさせられました。

物語とは関係のない登場人物たちの一言にも、哲学的で詩的な表現が多くて、そういう面でも世界観に厚みを持たせています。

シナリオは大きく3章構成になっていて、ペイントレスを止めるべく旅立つ序盤、ある人物と出会って世界の謎が徐々に明かされていく中盤、そして物語のクライマックスに向けて全ての伏線が回収される終盤と、本当に理想的な流れなんです。

この世界の謎についてのヒントが、ストーリーや探索で見つかるアイテムなどから少しずつ、「ん…?これってこういうこと?」と紐解いていく感覚が本当にとても気持ちいいんですよ。

絶対にネタバレは見ずにプレイしてください!何も知らずにこの作品のストーリーを追える楽しみを失うのはもったいなさすぎます。

ただ正直、いきなり始めると最序盤はよく分からない単語のオンパレードで、何が起きているのかもよく分からない展開で置いてけぼりにされかねません。プレイ前にセガが出している公式の世界観トレーラーだけは見ておくことをおすすめします。1分ちょっとくらいの動画ですが、これを見ておくだけで序盤が1.3倍くらい楽しめるようになりますよ。

キャラクターたちもいいんです!

この物語を引き立てるキャラクターたちもまた最高なんです。

道中で様々な困難が立ち塞がるのですが、そうした問題に対して現実主義で任務の遂行を第一に考える責任感の強いルネ、優しく見守ってくれる姉御肌のシエルなど、それぞれの立場でそれぞれの正しい主張が見られるんです。

周りを思い、自身の内にある問題に立ち向かうマエルが終盤で向き合うことになる迷いには、本当に共感できます。

海外の作品としては珍しく、日本人にも馴染みやすいキャラデザですし、衣装や髪型も自分好みに変えられるので、きっと好きになるキャラクターが見つかると思います。ちなみに私はシエル先生とマエルが好きです。どっちかを選べと言われても困る…

あとはエスキエという謎の生物の癒やしキャラっぷりも愛せます。全体的に暗めなこの物語の中で、ピュアに全面的に主人公を肯定してくれるエスキエは貴重な存在でした。

キャラビルドが楽しすぎる!

もちろんゲーム的な面白さも素晴らしいものに仕上がっています。コマンド制にQTE要素を足したバトルも面白いのですが、ここでは特にキャラクター育成・ビルドの部分についてお話ししたいと思います。

私はドラクエⅢやFFⅤのようなどのキャラにもどんな役割でもさせられる完全に自由な形よりも、キャラごとに個性があってある程度できることが決まっている構成の方が好みなんです。その意味で、Clair Obscurはもう完璧でした。

戦闘面でのキャラの個性は、覚えられる「技」とキャラごとの「特性」によって決まっています。

主人公のギュスターヴは攻守にバランスの良い技が揃っていて、攻撃を当てていくとポイントが溜まって必殺技の与ダメが上がるという特性。魔法使いポジションのルネなら、炎や氷といった属性攻撃や数ターン持続する設置型の技が揃っていて、特性は使った技の属性エネルギーみたいなものを貯めて別の技を強化する、といった感じです。

こんな風にそれぞれの個性が仲間それぞれに違っているんです。

そして、このそれぞれの個性をどう活かして、どう運用するのか自分次第で決められる自由度の高いビルド要素があります。各キャラクターそれぞれ20種類くらいある武器は、攻撃力の違いだけでなく異なるアビリティが3つずつ付いています。状態異常を付与するものや、行動ポイントを回復するものなど、自分の取りたい戦術に合わせて選ぶことが重要なんです。

防具にもそれぞれアビリティが付いていて、4回戦うことでそのアビリティを防具と関係なく装備できるようになります。FFⅨみたいなシステムといえば分かりやすいでしょうか。

このアビリティも多種多様で、戦闘時の初撃ダメージがアップするみたいな雑魚狩りに便利なものや、バフ付与時に行動ポイントも付与できるといった補助向けのもの、与ダメが半減するが2回行動できるみたいな使い方次第で強力な運用ができるものなど揃っています。

アビリティをセットするためのポイントも道中でどんどん増えるので何十個も装備することができて、どの武器とどの防具アビリティを組み合わせれば、それぞれのキャラの個性を上手く活かして有利に戦闘を進められるか、ということを考えるのが本当に楽しいんです。

人によってこの方向性が全然違うので、自分は補助特化として運用しているキャラクターを別の人は攻撃役として使っていたりして、個性を活かしつつこれだけの自由度を両立しているシステムには感動しました。

正直に言うと気になる点も…

もちろん100%完璧!というわけではなく、惜しいな〜と思うところもあるんです。この記事を見てもし遊んでみよう!と思っていただけた方が「そんなの聞いてなかった!」とならないためにお伝えしておくと、メニュー画面のUIが使いにくかったり、地形が入り組んでいて分かれ道も多いのにマップがないのでめちゃくちゃ迷いやすかったりという部分があります。

特にマップに関しては私自身も迷いまくりましたし、不親切だなと感じる部分はあるんですが、それを度外視してでも、本当にこの作品、本当に面白いんです。あなたにも遊んでみてほしいんです。

心からおすすめしたい傑作です

海外制のゲームを普段ほとんど遊ばない方や、キャラデザに抵抗があって食指が動かない方もいると思うんですが、それでも遊んでみて絶対後悔はしないはずです!

それほどこのClair Obscur Expedition 33、ここ数年遊んだ作品で1番どころか、私にとっては人生のトップ3に入るくらいの思い出に残る作品になりました。ぜひ皆さんもこの作品が迎える結末を見届けていただけたらと思います。

大人になってからこんなにも心を揺さぶられるゲームに出会えるとは思いませんでした。このような素晴らしい作品が世に出たことを心から嬉しく思いますし、多くの方に体験していただきたいです。きっとあなたの人生にも深く刻まれる一作となることでしょう。

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